タッチセラピーコラムVol.14|小児タッチセラピーにおける【5つのP】

 

入院していたり、消耗性疾患を診断された子供の症状はたびたび痛み、不安、孤独、そして恐怖心などを伴います。このため、医療スタッフや、医療機関がこれらの症状の治療として小児タッチセラピー(小児マッサージ)に関心を向けるのはもっともです。

研究により、子供の病状に伴う、身体的症状、及び感情面での苦痛をタッチセラピーにより緩和することができることが明らかになっています。マイアミ大学医学部のタッチ研究所で行われた研究では、タッチが、小児患者の痛み、不安、そして鬱病を和らげることができる事を示しています。また、このヒーリングタッチセラピーは癒し、安らぎを与え、ストレスホルモンの減少、そして慢性的な疾患である喘息、吐き気、便秘、筋肉痛の軽減をもたらします。小児マッサージを検討しているタッチ・セラピストや医療従事者は、患者の年齢や成長に合わせたセラピーを提供できるよう準備するため、いろいろと検討すべきことがあります。医療機関において、十分に自信を持って子供と接することができるよう、小児タッチについて更なるトレーニングが必要です。

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次の5つの「P」から始まるキーワードが小児患者、施術者の双方にとって、小児タッチセラピーの施術を成功へと導く鍵となります。

1)同意(Permission)

同意は、必ず毎回対象となる子供から得る必要があります。病院という閉ざされた空間において、子供にとって治療を断ったり、了承したりすることは、いつも可能なわけではありません。タッチセラピーを行うとき、子供たちに自身の医療ケアについて発言力を持つよう自信を与えることが可能です。

いかなるタッチセラピーを小児患者に施す前には、子供の安全を確実にするため担当医師より許可を得なえればなりません。医療同意書を得る前に小児患者にタッチセラピーは決して行ってはいけません。病状によっては、タッチセラピーは禁忌です。あらゆる病状の変化を想定してマッサージを行う前に毎回医療的な相談を受けることが最善です。

2)ペース(Pace)

成人患者に比べて、子供への治療タッチの施術はたびたびずっと短いことを覚えておいてください。健康な子供でも、短い集中力と限られた愛情のこもったタッチへの耐性を持っています。

この様な施術をセラピストが行う場合、小児患者に行うセラピーはたった15分から20分になるかもしれません。診断によっては、一日に一回以上のタッチセラピーが推奨されるかもしれません。

3)圧力(Pressure)

小児タッチセラピーは、個々の患者にあわせケース・バイ・ケースで適応させます。それぞれの子供とプロフェッショナルな関係において、信頼と信用関係を築くことが大切です。子供たちにマッサージの間、マッサージの圧力について指示できることを伝えてください。又、施術の中で、子供が指示した圧力でマッサージを試してみてください。子供があなたを信用でき、要望を聞いてくれると知ることが大切です。一度あなたを信頼したら、子供たちはリラックスし、マッサージがもたらすたくさんの恩恵を感じることができます。

自身の体についていくらかコントロールがあることを経験することは、慢性的な病気や、入院している子供にとって特に大切なことです。このような子供達が、毎日病院で体験していることは、大人たちが、時には痛く、不快感の伴うことを子供達の許可なしに行っているのです。治療の施術を指示することができたり、時に断ったりできることは、子供に大きな自信を与えます。

4)体位(Positioning)

慢性疾患の子供の中には、病院のベッドに寝たきりの子もいれば、車椅子を使っている子、ベッドから容易に移動できる子もいます。さまざまの状況に対応できることが大切です。

サポートされた側臥位、仰臥位、そしてセミファウラー位を含め、さまざまな体位で練習してください。これらの三つの体位は、小児患者とアイコンタクトができ、表情から何かしらの不快感などを感知できるため、とても効果的なようです。もちろん、車椅子に座っていたり、立っていたり、患者さんにとってより快適な他のポジションで横になっているなど、他のさまざまなポジションでマッサージを提供することがいつでも可能です。もっとも大切なカギは、子供がもっとも快適に感じるような方法であなたの手を子供に載せることです。これにより、あなたが施す治療やリラックスの効果を増やします。

5)両親(Parents)

多くの子供とご家族にとって、小児タッチセラピーは病気を治す為に必要な薬だと、たびたび思われています。このため、施術に両親が参加することを検討することはより大切になってきています。あなたが施術を毎日子供に提供することはできません。そのため、両親にいくつか技法を教えることは、子供と両親の間の健康的な結びつきを促進することに役立つでしょう。加えて、多くの両親は医療システムの中で無力さを感じています。何かできることを両親に教えることにより、彼らが落ち着き、リラックスすることを助け、これは子供の患者にも伝わります。

施術の初めに、施術中のあなたのフォーカスは子供にあること、施術の終わりに、施術に関して話し合ったり、どんな質問にも喜んで答えると両親に伝えてください。両親がリラックスするのを助けるいくつかの簡単な技法、例えば何回か深呼吸したり、肩を回すなどして見せてください。子供に触れる前にリラックスすることの大切さを説明してください。その後、両親に子供に危害を与えることなく使える簡単な技法を見せて教えてください。

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第1弾:小児タッチセラピー →詳細をみる

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▼タッチセラピーコラム|バックナンバー▼

第1回:子どもの睡眠とタッチセラピー
第2回:施術の同意を得る重要性
第3回:タッチの役割〜絆と愛着〜
第4回:子ども向けマッサージ・タッチを親に指導するメリット
第5回:ベビーマッサージvs小児マッサージ:何が違うの? 
第6回:子どもたちの感覚統合とタッチについて
第7回:小児タッチセラピストってどんな仕事?
第8回:ティナ先生新書「赤ちゃんのためのマッサージ」
第9回:【小児タッチセラピー】特別な診断を受けた子たちへの利点
第10回:災害時に対応する子どもへのタッチ
第11回:【Q&A】ダウン症・痛覚鈍麻・自傷行為のあるお子さんへのタッチセラピー
第12回:ベビーマッサージに関するQ&A 
第13回:医療施設でのタッチによる刺激