タッチセラピーコラム10/18|大人向けマッサージと、子ども向けマッサージの違い

多くのマッサージセラピストや医療従事者が、自身が受けたことのある一般的なマッサージトレーニングだけで、子どもにも施術が出来るものだと誤解していることに、私はこれまで何度も気づかされたことがあります。

「大人よりも力(圧)は弱めで」「何かあったら保護者に確認」すれば、子どもにも施術できると指導するトレーナーがいることも事実です。

しかしこれは、情報として正しくありません。小児マッサージ(小児タッチセラピー)の安全で効果的な実践には、もっと多くのことが必要なのです。


大人向けマッサージと子ども向けマッサージの違い

子どもにマッサージやタッチセラピーを行う場合、大人と異なる点は「圧は軽くする」「不明点は、本人ではなく保護者に尋ねる」が主な違いだと考える人が多くいます。これらは基本的かつ重要な点ですが、違いは他にも多くあります。

 

成人向けのマッサージ

医療的なマッサージ療法から、スパなどのリラクゼーションに至るまで、成人を施術する場合は、クライアントのニーズやそれに適したアプローチを考慮しながらさまざまな技術を使うことができます。

セラピストは、クライアントの好みに合わせて力加減を調節したり、可動域も小児より大きく動かしたりすることが可能です。
大人は子どもよりも筋肉や軟部組織が発達していますから、筋肉が十分に発達していない子どもには危険とされる様々なテクニックを取り入れたマッサージにも耐えられるのです。

また、大人は何年もかけて姿勢や体の仕組みを作り上げ、日々ストレスによる緊張を保っていることが多いものです。例えば、繰り返しの作業が多い職業に就いていたり、怪我をしたことのある大人のクライアントを想像してみてください。長期間に渡って発症した症状を抱えている場合、包括的な効果を得るためには、より回数の多いセッションが必要になるケースは、決して珍しくありません。反対に子どもの場合は、少ない数のセッションでも、大きな効果が得られることがあります。

他にも、大人は言葉によるコミュニケーションを円滑に行うことが出来るので、タッチセラピーを受けることについて、また自分の治療計画について十分に話し合い、理解を得ることがスムーズです。加えて大人は、医療関連を含めた自分のニーズや、ストレスなどについても、直接自分の言葉で説明することができます。自分自身が安心して、納得出来るまでコミュニケーションを取り続けることが出来るのです。

ですが、子どもの場合はそうはいきませんね。



小児向けのマッサージ
(小児タッチセラピー)

 

医療従事者は、医療機関や医療における子どもを表現する際、しばしば【小児】という言葉を使います。【小児】とは包括的な用語で、新生児〜退院時の年齢まで、その施設にいる子どもの患者全員に適用するという考えの人もいます。一方で典型的な発達を遂げている子どもたちを【小児】と指す場合もあると認識している人もいます。


子どもには、大人とは異なる身体的、心理的、発達上のニーズがあり、小児マッサージ(小児タッチセラピー)は小児期におけるこれらの個々の問題を対象にしています。

小児タッチセラピーは、特に医療の中での治療的介入・適応を目的としていますが、医療ケアを必要としていない子どもにも非常に適したアプローチであることも事実です。

 

小児へのタッチセラピーは、その子が持った特性に適応させます。子どもは急激に発達・成長し、身体的な変化が著しい時期です。皮膚は大人よりも薄く、もろく、感覚受容器も大人に比べ小さめです。また、骨格組織はまだ硬化していないため、より優しいアプローチが必要とされます。これらのことは、タッチセラピーを実践する上で非常に重要なことです。

私たちは子ども一人ひとりの体格や発達段階を考慮して治療計画を立て、また、年齢相応の言葉を用いて信頼関係を構築していきます。

成人クライアントと同様に、インフォームド・コンセントを用いて、特に子どもに対しての場合は「はい」や「いいえ」で簡単に答えられる質問と共に、許可を得るプロセスを取り入れます。大人にとっては初歩的、基本的すぎる表現に見えるかもしれませんが、まだ言葉の発達が十分でない小児のクライアントには、これが最適な接し方となります。

医療従事者の中には、小児タッチセラピーを特別な医療ニーズを持つ子ども達のみの治療法だと考える人もいます。
確かに小児タッチセラピーは、特定の医療的状況における治療計画の重要な一部となり得ます。
しかし、私たち大人が一般的な健康維持やリラクゼーションのためにマッサージを受けるように、子ども達も同じようにマッサージを受けられるのです
小児のクライアントの中にも、不安、ストレス、不眠など、懸念事項は少なくありません。



すべてのクライアントへの配慮

タッチセラピーのセッションを始める前に、インフォームド・コンセントと許可を得ることで、健全なタッチの利点に対する敬意理解をもたらすことができます。子どもの場合は、親や保護者、医療従事者の同意が必要な場合があります。

クライアントの医療ニーズや特性、好みに合わせてアプローチを調整することは、信頼とコミュニケーションの確立につながります。私たちは常に、自分が提供できるセッションの種類、適応、可能性を伝えていく必要があります。

多くのクライアントは、マッサージセラピストの業務範囲内にある幅広い技術や、各自の「できること」を理解しきれていません。

時間をかけてクライアントに様々な選択肢を説明することは、セッションを成功させるための基礎となるのです。プロ意識に基づいたなコミュニケーションは、どの年齢のクライアントに対しても必要不可欠です。

小児マッサージ療法を行うには、特別なトレーニングが必要です。

大人向けのマッサージセラピーを提供するためのトレーニングを受けていても、子どもと接するときに具体的に何をするべきか何に考慮すべきか、全ての人が知識を持っているとは限らないのです。

国際リドルキッズ協会では、保護者や医療従事者が、安全で根拠に基づいたタッチセラピーを実践するための徹底した教育、トレーニング、背景を併せ持ち、すべての子どもが最善かつプロフェッショナルな方法でケアされることを目標としています。


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