タッチセラピーコラム 11/7|ダウン症のお子さんに対するベビーマッサージの効果とは?
ダウン症(ダウン症候群)は、21番目の染色体 が3本あるために起こる生まれつきの疾患です。
ダウン症の子どもの生活の質を向上させ、また課題を軽減させるために、さまざまなアプローチがあるなか、ベビーマッサージやタッチセラピーが注目されています。
マッサージやタッチで優しく触覚を刺激する方法は、ダウン症の子どもによくみられる身体的また認知的な症状を対処するのに役立ちます。
またケアする人と子どもとの絆を深めるのにもよいでしょう。
ダウン症の一般的症状
- ダウン症は、身体の発達に特有の課題があります。たとえば、心臓の問題、筋緊張の低下、関節の弛緩などがあげられます。これらの課題は、運動面での発達や調整、また体力面での持久が難しくなる可能性があります。
- ダウン症患者の約15%が罹患しているといわれる「環軸椎不安定性」もあげられます。背骨の第1椎体と第2椎体のあいだの関節が緩んだり不安定になったりすることで、可動性が増し、脊髄が圧迫される可能性があるものです。
- 発達面では、ダウン症の方は認知や言語の遅れ、社会的相互作用の困難さ、感覚処理の難しさがあります。
ベビーマッサージの効果
ベビーマッサージは、ダウン症のお子さんの課題に対処するための、包括的かつ非侵襲的なアプローチを提供できます。身体的および認知的発達をサポートするためにタッチの力が活用できるのです。
1. 運動能力の促進
マッサージは、筋緊張や関節の柔軟性を高めるのに役立ちます。マッサージの優しくリズミカルな動きは、関節を弛緩を抑えながら筋繊維をうまく刺激し、成長させられます。定期的にマッサージを行うと、時間の経過とともに運動機能が改善することがあります。
2.心臓の問題への対処
前提として、心臓の問題については専門医の診断を受けるのがとても重要です。ただ優しいマッサージは、子どものリラクゼーションを促進し、ストレスを軽減するのに役立つでしょう。それにより、心臓の良好な健康状態に寄与できる可能性があります。
3.認知と言語の発達
ベビーマッサージは成長ホルモンの分泌を促進し、脳への血行を良くして認知機能の発達を助けてくれます。タッチは、社会的な絆とコミュニケーションを高めるホルモンであるオキシトシンの分泌を刺激し、間接的に言葉の発達をサポートするのです。
4.感覚処理
マッサージは、子どもたちにさまざまな感覚体験を提供します。定期的な触覚刺激により、子どもたちはタッチに慣れ、感覚情報を処理し反応する能力を高められます。
5.情緒的および社会的な利点
ベビーマッサージは、愛情あふれる親子の絆をきずく機会を提供し、子どもの安心感や幸福感を向上させます。これにより、社会的相互作用や行動への反応が改善されることがよくあります。
ベビーマッサージを行う上で注意すべきこと
ベビーマッサージはダウン症の子どもたちに多くの恩恵がありますが、特定の注意も必要です。
1.心臓の問題
心臓疾患を持つ小児の場合、マッサージは優しく軽く行うべきです。激しく強いマッサージは心臓血管系に過度の負担をかける可能性があるため、避けなければなりません。心臓に問題のある子供にマッサージ療法を開始する前に、必ず医療従事者に相談してください。
2.環軸椎不安定性
頸部に過度の負担をかけたり、頭部や頸部を極端に動かしたりするような施術は避けます。マッサージ中は、常に頭部と頸部をよく支えてください。
ダウン症の子どもには、マッサージを含む新しい身体的なアプローチをはじめる前に、肩甲軸の不安定性の定期的なスクリーニングを行うことが推奨されます。
3.筋緊張の低下と関節の弛緩
マッサージは筋肉の緊張と関節の柔軟性を改善するのに役立ちますが、過度に強いマッサージは、関節の弛緩を引き起こすため、ケガにつながる可能性があるので避けてください。
まとめ
ダウン症の子どもたちにとって、ベビーマッサージは身体的および発達的な問題に対処するための有望な手段です。
適切なアプローチと必要な予防措置があれば、タッチセラピーはダウン症の子どもたちの生活の質を著しく向上させることができ、治療的な意味合いだけではなく、保護者やケアをする人と子どもの絆を育む有意義な方法となります。
ケアが必要な子どもへタッチをするときは、保護者やケアをする人は、常に医療専門家と緊密に協力し、子ども特有のニーズに合わせて安全で有益なマッサージの習慣を作るべきでしょう。
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