タッチセラピーコラム 2/28|自閉症の子どもの睡眠改善に役立つ6つのステップ

 

自閉症の子どもの睡眠改善に役立つ6つのステップ
ティナ・アレン

 

自閉症と診断された人は、高い確率で睡眠の問題(不眠・睡眠リズムの異常)が起きると言われています。すべての子どもにとって、身体的、精神的、認知的発達に不可欠である、十分な睡眠を確保するために、就寝前のルーティンは非常に重要になってきます。(※1)

中でも自閉症の子どもや感覚の過敏さなどがある子どもにとっては、感覚器官を整え、睡眠リズムを改善させてあげることが特に重要になってきます。(※2)しかし、従来の「就寝前のルーティン」がすべての子どもに有効とは限らず、保護者は他の方法で子どもが落ち着いて眠りにつける環境を作ってあげる必要があることも事実です。

 

この記事では、自閉症児や感覚の過敏さを持つ子どものために、小児タッチセラピーを取り入れた就寝前のルーティン【入眠の儀式】について、エビデンスに基づいたステップを6つ紹介します。

 

STEP1:決まった就寝時間を設定する

毎日決まった就寝時間を設定することで、生活のリズムが整い、子どもの睡眠パターンも改善されることが研究で明らかになっています。(※3)急に一貫したルーティンを開始するのが難しい子には、ストレスや不安を与えないように、徐々に変化を取り入れてあげましょう。

 

STEP2:落ち着いて眠れる環境を整える

感覚過敏のある子どもの睡眠を改善してあげるには、落ち着いた睡眠環境を整えることが大切です。寝室を暗く、静かに、適温に設定し、ベッドが快適で、おもちゃや電子機器など気が散るものがないようにすることをお勧めします。また、“ホワイトノイズ”や馴染みのある香りなどの感覚に優しいインプットを取り入れて、リラックスを促す穏やかな環境を作ってあげても良いでしょう。(※4)

 

STEP3:心を落ち着かせる、就寝前の”儀式”を身につける

心を落ち着かせる就寝前の習慣は、子どもの心と体をリラックスさせ、眠りにつきやすくするのに役立ちます。本を読む、温かいお風呂に入る、タッチセラピーを行う、深呼吸や瞑想などがあります。(※5)

 

STEP4:スクリーンタイムを制限する

就寝前にスマホ、パソコン、タブレットなどの電子機器に触れることで、子どもの睡眠パターンが乱れることが研究で明らかにされています。(※6)子どもの脳が落ち着き、睡眠までの十分な時間を確保するため、スクリーンタイムは就寝の1~2時間前までに制限しましょう。

 

STEP5:小児タッチセラピー(マッサージ)を取り入れる

小児マッサージやタッチセラピーは、自閉症児や感覚に違いがある子どもへの非常に効果的な介入のひとつです。マッサージは、自閉症の子どもの睡眠パターンを改善し、不安やストレスを軽減し、社会的行動を改善することが研究で示されています(※7)
タッチを施術する保護者は、子どもを落ち着かせるために、優しい圧で、ゆっくりとした動きで触れていくことで、タッチを就寝前の儀式として習慣的に取り入れることができます。タッチの手順・ペース・強さをいつも同じにすることで、子どもにとっても安心した時間となるでしょう。(子どもが嫌がる場合は、すぐに中止します)

おすすめの基本のタッチ

ここで紹介するストロークは、全身に対してすることができます。優しい圧で、ストロークの大きさや形はその体の部位によって変えてみてください。

**まず最初に、マッサージをしてもいいか必ず子どもから許可をもらいましょう**

(1)愛情のこもったタッチ
マッサージを始める部位に、愛情をこめて優しく手を置き、今からその部位のマッサージをすることを伝えます。

(2)すべすべマッサージ
温めた手のひらで心臓に向かって優しく流れるように動かします。

(3)ハートのマッサージ
マッサージをする部位に、両手でハートを描きます。その部位に合わせてハートを小さくしたり、大きくしたりしましょう。

(4)クロスのマッサージ
背中・胸・その他大きな部位には、両指の腹や手のひらを交互に使って「X」を描きます。体の正中線をこえる動きをすることで、右脳と左脳の機能を活性化させます。

(5)ジグザグマッサージ
手を左右交互に変えながらジグザグと上下にすべらせます。

(6)やすらぎのマッサージ
温めた手のひらで、心臓から離れる方向に永く流れるように優しいストロークをしましょう。このストロークは、これでこの部位のマッサージが終わったことを子どもに伝えます。

 

STEP6:一貫性を保ち、根気良く続けましょう

自閉症の子や感覚に特性がある子の睡眠のルーテインを確立するためには、一貫性と時には忍耐が重要です。子ども自身ががその習慣に慣れるまで時間がかかるかもしれませんし、子どものニーズに応じて親がその習慣を修正する必要も出てくるかもしれません。毎晩、同じ習慣を続けるようにしてください。そうすることで、子どもの体内時計がその習慣に適応し、毎日同時に寝起きすることが難しいことではなくなります。

親御さんは、この6つのステップを参考にしながら、お子さんの就寝時間を上手に設定してあげてください。就寝時間を一定にし、小児マッサージやタッチセラピーを取り入れ、落ち着ける睡眠環境を整え、一貫して根気よく続けることで、親は子どもの感覚器官を整え、ストレスや不安を軽減し、健康に欠かせない睡眠パターンを改善してあげることができるのです。

 

【参考文献】

※1
Schlieber, M., & Han, J. (2021). The role of sleep in young children’s development: a review. The Journal of Genetic Psychology, 182(4), 205-217.
※2
Souders, M. C., Zavodny, S., Eriksen, W., Sinko, R., Connell, J., Kerns, C., … & Pinto-Martin, J. (2017). Sleep in children with autism spectrum disorder. Current psychiatry reports, 19, 1-17.
※3、5
Mindell,  J. A, Li, A.M., Sadeha, A. Kwon, R., Goh, D. 92015)  Bedtime Routines for Young Children: A Dose-Dependent Association with Sleep Outcomes, Sleep, Volume 38, Issue 5, 1 May 2015, Pages 717–722,
※4
National Sleep Foundation. (2021). How Sleep Works: Understanding the Science of Sleep
https://www.sleepfoundation.org/how-sleep-works
※6
Carter, B., Rees, P., Hale, L., Bhattacharjee, D., & Paradkar, M. S. (2016). Association between portable screen-based media device access or use and sleep outcomes: a systematic review and meta-analysis. JAMA pediatrics, 170(12), 1202-1208.
※7
Esposito, D., Belli, A., Ferri, R., & Bruni, O. (2020). Sleeping without prescription: management of sleep disorders in children with autism with non-pharmacological interventions and over-the-counter treatments. Brain Sciences, 10(7), 441. 

 


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