タッチセラピーコラム 9/19|医療業界におけるタッチセラピーの位置づけとは?
昨今の医療業界に思うこと
この20年ほど、医療業界は患者へのケアについて大きな進歩と変化を遂げてきました。
テクノロジーにより、遠隔医療や高度な診断サービスなど、さまざまな分野で進歩が見られています。
そのため病気等、さまざまな医療懸念についての判断が早期にできるようになったのです。
しかし医療において、テクノロジーをはじめとした効率性が重視される一方で、懸念事項もあります。
心のこもったケアがなおざりにされている?
それは、「患者さんが安心感を得るために必要な、個別の心もこもったケアがなおざりにされていないか」ということです。
患者さんが安らぎを感じることは、本来、医療においての大きなモットーであったはずです。
医療分野にさまざまな進歩はあったものの、依然として課題は残っており、継続的な対策が必要であると私は考えています。
患者とその家族が癒やされるケアが必要です
私は、常に医療の進歩に注目してきたと同時に、患者とその家族が癒されるために必要なケアがあるとも認識してきました。
医療チームとのつながり、またコミュニケーションや理解こそ、1対1の個別に応じたケアを可能とするでしょう。
多くの医療スタッフは、患者との時間よりもコンピュータに時間を費やすことがあるのはご存じですか?
2016年の研究(※1)では、医師が患者と接する1時間あたりに対して、約2時間をパソコン作業に費やしていることがわかりました。
また他のデータでは、患者が直接的にケアを受けると満足度が向上し、その満足度は「患者満足度調査」で最高評価の一つと報告されています。
15分間の手のマッサージを受けた患者は、術前の不安レベルが低下し、満足度が向上したとも報告(※2)されました。
タッチセラピーを取り入れる利点
さまざまなマッサージ技術は、熟練した教育を受けた医療提供者によって実施される場合、非侵襲的で安全かつ効果的で健康上、多くのメリットをもたらします。
入院患者にマッサージを行う場合、すべての注意事項、禁忌事項、特別な医療上の配慮を考慮し、手技を優しく適切に行う必要があります。
病院では、医療提供者は終末期に近い患者を含め、さまざまな病状の患者と接しています。このような患者さんには、マッサージが常に有益です。
同時に、害を与えたり病状を悪化させたりしないよう、特別な配慮が必要でもあります。
特定患者のニーズに対する対応
アメリカのセントジュード小児研究病院は、小児がん患者のケアに関する懸念に積極的に取り組むことを決定しました。
セントジュードの最近の研究によれば、小児がん患者は、治療中に精神的にも肉体的にも強い苦痛を経験することがあります。
最善をつくしても、がんとその治療に伴う症状は、身体的、心理的、感情的な不快感をもたらし、西洋医学を駆使しても対処が困難な場合があるのです。
医療だけでは、罹患した患者の家族が必要とする身体的、心理的、精神的、感情的ケアを総合的に提供することはできません。
そのため、セントジュード小児研究病院の小児血液腫瘍学、緩和ケア、統合医療(IM)の関係者は、統合的でリスクの少ない、かつエビデンスに基づいた治療法を従来のケアに早期に取り入れることを提唱しています。
私たちのマッサージプログラムの目標
1)筋骨格系の痛み、不眠症、ストレスや不安がある人、またマッサージを希望する患者にマッサージサービスを提供すること
2)子どもを担当する医師をを親へのマッサージ指導者となるのを文書化すること
です。セントジュード小児研究病院では、医療従事者に小児マッサージテクニックのトレーニングを行いました。
現在までに、12の専門分野にわたる約50人の医療従事者が、リドルキッズを通じて小児マッサージセラピスト認定トレーニングプログラムを修了しています。
患者のことを第一に考えて
どんな状況や立場であれ、例えばタッチを提供する人がボランティアでもの医療提供者でも、
いつだって患者のことを第一に考えなければなりません。
また家族のことを第一に考えたケアを実践することが最も重要です。
医療現場も選ばれる立場になっている
医療には多くの選択肢があり、テクノロジーの発達も向上しています。
そのため家族は最も情報に精通し、充実した医療を提供してくれる病院や医療チームを探すことができる状況です。
患者満足度の測定やその他の患者志向のレポートの類は、医療において非常に重要になってきています。
多くの人たちがこれらのツールを使って医療サービスを評価しており、医療施設が期待に応えない場合や評価を軽視するのはよくないでしょう。
より多くの病院や医療現場が小児マッサージや統合療法を取り入れるなか、医療に関わる人や施設が、タッチを取り入れる機会を逃さないようにしていただきたいと切に願っています。