子どもへの虐待やトラウマというのは、起こった直後よりも後々になってその時の衝撃や影響が出てくることが多々あります。例えば、入院という形になる;身体的虐待の後遺症のみならず言葉の虐待による後遺症;また虐待の場面を目撃してしまうことによる影響など。これらの経験は子どもの発達にゆがみを与え、何年もかけて尾を引く結果を引き起こします。
ある研究は、虐待とネグレクト(育児放棄)から起こる身体的結果および精神的結果は、子どもとその家族へ衝撃を与えるだけでなく、地域全体に影響を及ぼすと示しています。私たちは、タッチをとおして適切で安全な、効果のある介入をすることができ、子どもたちに思いやりをもってトラウマを癒していく方法を提供することができます。
子どもたちが示すトラウマへの反応は、子ども特有のもので、大人の反応とは異なっています。ゆえに、トラウマを抱えた子どもに接する大人は、よく訓練を積み重ねたプロであるべきです。
小児マッサージは、特別な訓練を受けたマッサージ療法士、またはその人たちから技術を受け継いだ保育者(あるいは介護者)によって施される時、最も効果を発揮します。トラウマをもつ子どもたちに小児マッサージをおこなう際は、特に強く積極的なタッチとまでいかなくても、最大の効果を得ることができます。
トラウマ経験のある子どもたちにタッチをしていく過程では、その子の感情の度合いや、どのくらいの身体的ケアが求められているか、注意をはらう必要があります。そのような意味で、この講座はトラウマという特殊な経験を抱える子どもたちに働きかけたい熱意をもつ方を募ります。
リドルキッズ協会の「トラウマをもつ子どもを癒すためのタッチセラピー指導者養成講座」では、幼少時代のトラウマ経験、トラウマが及ぼす結果、子どもへの安全の与え方、適切なポジショニング、小児マッサージの技術、そしてトラウマ以降の子どもたちの成長過程、そこでの経験がどのように人生を形づくっていくかを学びます。
また、子ども及び保育者へのタッチの様々な効果やこれまでの研究、コミュニケーションの重要性や、健全で情緒的な関係がいかに育まれるかについて私たちはディスカッションします。受講生の方はさらに、保護者や保育者、医療従事者ともどのような関係を築いていくか、そして何より救いのハンド(手)を求めている子どもたちへの関わり方を習います。
小さな子や思春期の児童は特に、知らない人からマッサージを受ける不安や、タッチについての理解が小さいので、私たちはその状況を汲み取らなければなりません。子どもたちからまず信頼されるため、適切なアプローチの仕方やマッサージの導入法についても本講座で話していきます。
このように、色々なトラウマ経験をもつ子どもたちと関わり合う小児マッサージの技能は、実習・実践の形をとっておこない、その子その子に合わせたタッチ療法の効果と重要性をしっかりと説明します。
ティナ・アレン先生からのメッセージ
子どものトラウマというのは、起こった直後よりも後々になってその時の衝撃や影響が出てくることが多々あります。例えば、災害や事故などの被害、入院やいじめの経験、身体的虐待や言葉の虐待による後遺症、また虐待の場面を目撃してしまうことによる影響など、これらの経験は子どもの発達にゆがみを与え、何年もかけて尾を引く結果を引き起こします。子どもたちが示すトラウマ反応は子ども特有のもので、大人の反応とは異なっています。トラウマ経験のある子どもたちにタッチをしていく際は、その子の感情の度合いや、求められている身体的なケアに注意をはらう必要があります。そのため、本講座では、トラウマの及ぼす結果、子どもへの安全の与え方、適切なポジショニング、小児タッチセラピーの技術、そしてトラウマ経験がどのように子どもたちの人生を形づくっていくかを学びます。特に小さな子どもや思春期の子どもにおいては、知らない人からマッサージを受けることの不安やタッチについての彼らの理解度を、私たちがくみ取らなければなりません。子どもたちから信頼されるためにも、子どもへの適切なアプローチの方法やマッサージの導入法についてもお話していきます。