• HOME
  • 卒業生活動インタビュー【宮井文美さん】

卒業生活動インタビュー【宮井文美さん】

宮井さんは兵庫県で健康な赤ちゃんから医療ケアを必要とするお子さんにまで、幅広くタッチケアを伝えています。宮井さんのファンの方も多く、回りの方からは赤ちゃんに関わるこのお仕事が宮井さんの「天職」だと言われているそうです。

タッチをはじめたきっかけを教えてください。

タッチの入り口はベビーマッサージでした。

看護学校の教員をしていた私は多くの学生に接するなかで、生きづらさやしんどさをかかえている方に出会うことが多くありました。その方たちと関わっていくなかで、乳児期からの親子関係が出発点になっているのではないかと考え、乳児期の親子に関わる仕事をしたいと思うようになりました。そして看護教員をやめることにしました。

ベビーマッサージを勉強したのは、手技や手順を学ぶというよりは、その頃の親子に出会えると思ったからで、それを使うことで濃く関われると思ったからです。

そのうち、私の教室に医療的ケアが必要な子どもやいろんな症状を持った子どもが来るようになって、今持っているノウハウやスキルだけでは足らない、もう少し何かプラスアルファできないかなぁと考えていた時に、ティナ先生のタッチセラピーに出会い、それが今の仕事につながる大きな転機となりました。

ティナ先生の講座を受けたことで勉強する視点が変わりましたし、スキルがすごく広がりました。

医療的ケアが必要な子たちが来ることもすごく増えましたし、私自身が自信を持ったというか見方が変わりました。子どもの変化がわかるようになりました。ティナ先生の講座を受けていなかったら、私は今の仕事はしていなかったんじゃないかなと思います。もしかしたらたどり着いたかもしれませんが、すごく時間がかかったと思います。

今、どんな活動をしているのですか?

子育て支援センターや数カ所の保育園でベビータッチ&ベビー体操講座と、自宅や、訪問での医療ケアが必要な子どものための個別タッチケア教室をしています。

そして、この春から長年の念願だった兵庫県立こども病院のGCUに、タッチケアスペシャリストとして関われることになりました。

今は看護師さんに横で見てもらって、説明をしながら私が赤ちゃんにタッチをしています。お父さんやお母さんにも一緒にタッチしてもらうこともあります。

「小さく産んで申し訳ない」と思っているお母さんが、自分の手で触って赤ちゃんが笑ったりどんどん変わっていく様子を見ると、それだけで家に帰って育児をする自信になってきます。自分の手への自信は「私が親で大丈夫」って育児に対する自信に変わってくるのです。

急性期の現場なので看護師さんはとても忙しいのですが、将来的にはわずかな時間でも看護師さんにもタッチを取り入れてもらえるといいなあと思っています。タッチをすることで赤ちゃんが落ち着けば、鎮静の薬を使わなくてもよくなるだろうし、呼吸器を使っている子は呼吸が安定すると呼吸器が早く離れるし、それからお腹の調子も良くなって消化吸収が良くなると早く体重が増えるし、本当にいい効果がいっぱいあります。

看護師さんがタッチして「私の手すごいんだ」って思ってもらえるようにお手伝いしていきたいというのが、今の私の密かな目標です。

タッチケアをしていて嬉しかったこと、良かったことはなんですか?

私が伝えているのはリハビリでも療育でもなくて「タッチケア」なのですが、そのタッチケアで本当に子供が変わります。もちろん身体も変わるし、身体が変わると心というか思いも変わるし、目つきが変わって来ます。子どもの能力や可能性を、想像を超えた域まで引き出してくれることにすごいなあと驚きます。

タッチケアは何がいいかというと、「親が出来る」ということ。リハビリとか療育ってどちらかと言うと、親じゃなくてPTさんとかOTさんとか他の人がするものですが、タッチケアは、親御さん自身が出来るということに大きな意味があるんです。初めは私には無理じゃないかって不安だから手を出さないお母さんも結構いらっしゃいますよ。でも、お母さんの気持ちを緩めながら、少しずつ触れてもらうようにしているんです。

子どもが抱っこされるのが嫌いな子だったりすると、お母さんは「この子は私のこと嫌いなんだ」とか「受け入れてくれない」とか愛着の面で不安を抱えているんですけれど、丁寧に丁寧にタッチをしていくと、適切なタッチが入ることによってどんどん子どもとの関係が出来てくるし、それは愛着の問題ではなくてその子自身がいろんな過敏性を持っていたりすることが原因だってわかるようになってくるんです。

難しい手技でもなんでもないのに、自分のタッチによって子どもが楽になったり笑顔になったり変わってくるのを見ると、「もしかして私にも出来るかも、私でも大丈夫なんだ」と思えるようになってお母さんの自信に変わっていくんですよね。自責の念も癒やされる。やっぱりそれがすごく大事だと思うんです。

たとえば、こんなことがありました。幼児期のお子さんでしたが、寂しかったり辛かったり痛かったりしたときにも涙を見せず、それまでは離れたところで1人で下を向いていた子が、タッチをするようになって、お母さんの顔を見て涙を流して寄ってきて、手を伸ばして「抱っこして」って言えるようになってきました。
そうするとお母さんも「私のことが嫌いじゃなかったんだ。この子はそういうことが出来なかっただけなんだ」ということがわかって、子供に対する関わりがどんどん変わってくるんですね。

だから、私がやっていることは、触ってもらって気持ち良くなってっていうのとは違うんです。スキンシップはすごく大事ですが、ただ触れるだけではなく、「そこにお互いの気持ちの交流がある」ってことがすごく大事なことなのです。
親子の関わりが大きく変わるというのが、タッチケアのすごいところだといつも思うんです。

GCUの赤ちゃんにはこんなことがありました。
緊張が強くて身体がカチカチで、手も上に上がりにくくて、首も向き癖が強くてずっと右を向いているお子さんが居ました。首から背中を緩めようと15分くらいずっと首と背中をなでなでしてたら、だんだん首をぶんぶん振り出して、いつも向いていないほうから声を掛けると目が右にも左にもぎょろぎょろと動き出してきて、親指をぐーっと中に入れている子だったのに、手をパーに開いて、今度は大きく手をぶんぶん上下に振り出して、遠くから見ていた看護師さんも驚くくらいでした。

今までぎゅーっとしていた手が動き出して嬉しいもんだから、何回も何回もするし、首もぶんぶん振って目もぎょろぎょろ動かして、それがすごいおかしくて(笑)

もう1人の子はご両親と一緒にタッチをしました。ママがずーっと足にタッチをしていて「はい、おしまいです!」と伝えると、偶然だと思いますが、赤ちゃんが「オッケー」と言っているようにほっぺに親指と人差し指で○を作ったんです。それを見ていたパパが「ママ、合格だって!」って言って、こういう関係性も出来るんだ、すごいなあって感動しました。

小さければ小さいほど変化が早くて、そういう時期に関わることが一番したかったことです。生まれてすぐの赤ちゃんに、入院している間に関わりたいというのが長年の夢でした。

GCUでの活動は始まったばかりですが、これからもっと力を入れて大事に育てていきたいと思っています。

 

宮井文美さん

HP
http://heart-note.jp/

ブログ
https://ameblo.jp/heart-note-m